HOME > メキシコ法律情報

メキシコの法律情報 Q&A

【メキシコ進出方法に関するQ&A】

Q1. メキシコで事業を行う場合、どのような形態がありますか?
A1: メキシコに進出する際の形態としては、以下の4つのいずれかとなります。
(1) 個人事業
(2) 現地法人
(3) 支店・駐在員事務所
(4) 合弁事業(Asociación en Participación)

Q2. 個人事業や合弁事業の場合の責任負担はどうなりますか?
A2: 個人事業における個人経営者は、事業に関する債務について直接責任を負います。また、合弁事業とは、ある特定の投機的事業において、商品やサービスを提供するパートナー(asociado)と業務担当のパートナー(asociante)とが契約に基づき行う事業形態であり、asociadoは自身の寄与の範囲においてのみ責任を持ち、事業およびこれに関する債務についてはasocienteが負うことになります。

Q3. メキシコの会社形態はどのような形態がありますか?
A3: 商事会社一般法(Ley General de Sociedades Mercantiles)にもとづくと以下の7つの形態があります。
(1) 合名会社(Sociedad en Nombre Colectivo)
(2) 合資会社(Sociedad en Comandita Simple)
(3) 合同会社(Sociedad de Responsabilidad Limitada)
(4) 株式会社(Sociedad Anónima)
(5) 株式合資会社(Sociedad en Comandita por Acciones)
(6) 共同組合(Sociedad Cooperativa)
(7) 簡易式株式会社(Sociedad por Acciones Simplificada)
このほか、2005年に公布された証券市場法(Ley de Mercado de Valores)において投資促進株式会社(Sociedad Anónima Promotora de Inverción)という有限責任会社の形態もありますが、日系企業の採用は極めて少ないといわれています。

Q4. メキシコの公開会社と非公開会社の違いは何ですか?
A4: 公開会社を上場会社と定義する場合、その会社は公開株式会社(Sociedad Anónima Bursátil)もしくは投資促進公開株式会社(Sociedad Anónima Promotora de Inversión Bursátil)となり、証券市場法の適用も受けます。上場会社の場合、監査機関の設置が義務付けられており、そのほか情報の開示等様々なルールが適用されることになります。

Q5. 外国会社の支店であっても現地法人と同様に事業は可能ですか?
A5: 外国会社の支店であっても法的用件を満たす形で開設し、必要許認可類を具備すれば、原則メキシコでの活動を展開することができます。開設に係る手続の流れは以下の通りです。
(1)支店長及び弁護士宛代表権授権公正証書及び登記用定款準備
(2)経済省外資局に対する支店開設通知
(3)(1)の公正証書と(2)の開設通知の確証を1つの公正証書に編算
  (法律上義務付けられた手続ではないものの、支店の合法的開設を証明する証書となります。)
(4)商業登記
(5)RFC番号(Q7参照)の取得
(5)外資登録

Q6. 現地法人と支店の違いは何ですか?
A6:現地法人の場合、その親会社とは異なる独立した法人格を有し、その法人はメキシコ国民として扱われます。また、親会社はこの現地法人とは異なる主体ですから、その現地法人が有限責任の会社の形態をとった場合、その活動についての親会社の責任は、出資額の範囲内限定されることになります。一方、外国会社の支店の場合、メキシコでの商業登記の主体はメキシコ国外にある法人であり、外国人として扱われることになり、土地の取得など外国人に対する規制をうけることなります。また、メキシコ国外にある法人から独立した主体でないことから、支店を出店した法人はその支店の活動に対する責任を無限に負わなければなりません。

Q7. 外国会社の駐在員事務所であっても現地法人と同様に事業は可能ですか?
A7:いわゆる駐在員事務所は、外国投資法(Ley de Inversión Extranjera)によると民法2736条に規定される外国法人、すなわち商行為を営まず、情報収集や商流管理、技術サポートなどを行うものとなります。従って、現地法人のように事業一般を行うことは出来ません。また、Q6.にもあるように、外国人としての扱いを受けるため、当然、外国人に対する規制の対象ともなります。

Q8. 駐在員事務所と支店の違いは何ですか?
A8:メキシコでは、外国投資法(Ley de Inversión Extranjera)に規定される「常態で商行為を行う主体」が支店と考えられています。また、支店の場合、外国投資法により、国家外資登録(Registro Nacional de Inversiones Extranjeras)を行わなければなりません。

Q9. 会社の商号は自由に決めることができますか?
A9: 会社を設立するための手続として、経済省から商号許可を所得する必要があります。これは、登録商標と抵触する商標を自己の商号もしくは企業名称の要素として使用することが産業財産法違反となるためです。なお、許可申請時には使用したい商号を希望順に3つ記載することができます。

Q10. 会社設立のためにどのような手続が必要となりますか?
A10: メキシコにおいて会社設立は一種の契約行為ですが、公正証書にする必要があります。つまり、公証人による会社設立契約を内容とする公正証書の作成の後、公証人立会いのもとで当事者がこれに署名し、公証人も署名を行うことで法的に会社が成立します。また、会社設立の対抗要件は登記になるため、会社設立公正証書の謄本を用いて商業登記を行います。さらに、連邦納税者登録(Registro Federal de Contribuyentes)を行い国税庁が発行する番号(RFC番号)を取得します。また外国資本の参入する会社は、外国投資登録(外資登録)を取得しなければなりません。RFC番号がないと行政手続きや銀行口座の開設、正規インボイスの発行等ができず、また、外資登録がない外資会社は、各種法律行為を有効に実行することができないことから、これらの手続は必要不可欠です。

Q11. カルボ条項とは何ですか?
A11: メキシコでは外資参入を認める会社について、定款に盛り込むことが一律義務付けられているものとしてカルボ条項があります。これにより当該会社の外国人株主等はその出資及びそれから派生する権利一切に関して内国民と同等の扱いを受けること、それに関して自国政府の保護を求めないこと、これに違反した場合には当該権利等をメキシコ国に没収されることに同意することになります。

Q12. メキシコにおいて種類株を発行することは可能ですか?
A12: 会社は株式ごとに異なる権利が付与された異なる種類の株式を発行することができます。

Q13. メキシコで会社を設立する際の最低資本金はいくらですか?
A13: 現地法人を設立するための最低資本金はありません。

Q14. メキシコで会社を設立する際に必ずメキシコ人を株主に入れる必要はありますか?
A14: 原則、株主になるための特段の制限はなく、法人、個人、国籍、メキシコの居住者が否かは問われません。なお、外資法(Ley de Inversión Extranjera)において一部参入の禁止や参入率の規制が設けられています。この詳細は「メキシコの外資規制に関するQ&A」をご参照下さい。

Q15. メキシコにおいて監査役を選任する必要はありますか?
A15: 株式会社の場合、監督機関としての監査役(Comisario)を置くことが必要です。また、この監査役にはi)行為能力を欠く人、ii)会社の労働者または会社資本金の25%超を保有する株主の労働者、当該会社が資本金の50%超を保有する会社の労働者、iii)会社取締役の直系血族、四親等以内の傍系血族、二親等以内の姻族は就くことができません。

Q16. メキシコにおける小規模会社にはどのような会社が該当しますか?
A16: メキシコでは、労働者が11名以上30名以下であって、年間の売上高が400万ペソ超10億ペソ未満の企業が小規模会社(Pequeñas Empresas)に該当します。そのほか、労働者が10名以下であって、年間の売上高が400万ペソ以下の企業は零細企業(Microempresas)に、労働者が31名以上100名以下であって、年間の売上高が10億ペソ以上25億ペソ未満の企業が中規模企業(Medianas Empresas)に該当します。

Q17. メキシコにおいて休眠会社という概念はありますか?
A17: 一般商事会社法においては、法人登記がなされていない会社や違法な目的で設立された会社をさすSociedad irregularという言葉は確認できますが、事業活動を行っていない会社を意味するSociedad Durmienteという言葉は確認できませんでした。ただし、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール政権はこの休眠会社の撲滅もアジェンダとして掲げており、広く一般に概念としてはあると考えられます。

【メキシコの会社法(Ley General de Sociedades Mercantiles/商事会社一般法)に関するQ&A】

Q1:メキシコの会社法が最近変更されたと聞きましたが本当ですか?
A1:日系企業にも影響すると考えられる会社法第 73 条及び第 129 条の改正が2018年12月15日に施行されました。日系企業の場合、株式会社(Sociedad Anónima)の形態をとることが多いと考えられますが、この場合、株式の記録の作成が必要とされ、常に最新の情報に更新することが求められていましたが、改正により、株式の状況について経済省の電子システムを通じ通知することが義務付けられました。これに併せて、当該電子システムに登録を行っていなかった企業については、その登録も必要となりました。

Q2:株主は何名必要ですか?
A2:最低2名いることが用件となります。ただし、2016年3月14日の会社法改正によって追加された簡易式株式会社(Sociedad por Acciones Simplificada)の形態においては一人会社の設立が認められており、この場合は、個人においてのみ株主を1人とすることができますが、年間の売上げの上限が設定されていることから、現実にこの形態をとるメリットは少ないと考えます。

Q3:額面株式制度はありますか?
A3:額面株式の制度はあります。なお、会社は額面以下での株式の発行が禁止されています。

Q4:株主の書面決議は可能ですか?
A4:一般商事会社法では、合同会社の社員総会では、定款に招集の必要がない場合を定めているときは、配達証明付の書面による決議を行うことができるとされています。

Q5:減資手続きは難しいですか?
A5: 可変資本制をとることで、会社の定款を変更することなく減資を行うことが可能となります。可変資本制の場合、その会社の資本金は、定款において定める必要がある固定資本とその必要のない可変資本に分けられ、可変資本の額を変更することで手続数を減らして減資することが可能です。この場合の手続は、減資実施に関する告知、株主総会の実施、株主総会議事録の公証手続となります。なお、固定資本部分を減資させる場合は、これらに加え、商業登記も必要となります。

Q6:取締役の定義
A6:取締役は、株式会社においてその経営機関として株主総会の任命により設置されます。日本で言う「代表取締役」といった概念はなく、会社の業務執行を担う社長等の執行機関とは明確に区別されているのが特徴ですが、取締役が執行機関の役職を兼任することも可能です。

Q7:取締役は何名必要ですか?
A7:株式会社(Sociedad Anónima)においては取締役の人数について法律上の制限はなく、また一人の取締役に全権を委ねる唯一代表取締役(Administrador Único)による経営も認められています。 ただし、上場した場合は、その取締役の人数は2名以上21名以下と制限を受けるようになります。

Q8:取締役の報酬は自由に決めて良いのですか?
A8:株式会社の場合、取締役の報酬は年に一度開催される通常株主総会(Asamblea General de Accionistas Ordinaria)で承認される必要があります。

Q9:取締役の年齢に規制はありますか?
A9:メキシコでは取締役の年齢について規定は設けられていませんが、一般商事会社法には、取締役に就任できない要件として、「法律で事業を行うことができない者」と規定されています。

Q10.取締役の常駐義務はありますか?
A10:会社と取締役の関係を明確に規定するものは見られず、従って、取締役には会社への常駐義務はないと考えられます。また、取締役の国籍についても原則規制はありませんが、例えば、金融機関法に定める金融機関の取締役など一部規制を受ける場合も考えられます。

Q11:定款を作成する必要がありますか?
A11:メキシコでは法人設立に定款は不可欠です。設立時には、事前に定款を公証人に提出し、会社設立の合法性など必要事項の審査を受ける必要があります。

Q12:株主総会を定期的に開催する必要がありますか?
A12:株式会社は、少なくとも年に一度、年度末から4ヶ月以内に株主総会(通常株主総会)を行うことが義務付けられています。また、定款の改定を伴う事項など検討する場合は、臨時株主総会(Asamblea General de Accionistas Extraordinarias)を記載することが規定されています。

Q13:社印を作成する必要はありますか?
A13:メキシコでは社印を必要とする規定はありません。

【メキシコの労働法に関するQ&A】

Q1. メキシコの最低賃金額はいくらですか?
A1: 2019年1月1日現在、メキシコの最低賃金額は一般に国境地帯地域では176.72ペソ/日、国境地帯地域以外の地域では102.68ペソ/日となっています。更に59の職種においてはその職種ごとに別途最低賃金額が定められています。なお、国境地帯地域とは次の州の各地域となります。
バハ・カリフォルニア州;エンセナダ、プラヤス・デ・ロサリト、メヒカリ、テカテ、ティファナ
ソノラ州;サン・ルイス・リオ・コロラド、プエルト・ペニャスコ、ヘネラル・プルタルコ・エリアス・カジェス、カボルカ、アルタル、サリック、ノガレス、サンタ・クルス、カナネア、ナコ、アグア・プリエタ
チワワ州;ハノス、アセンシオン、フアレス、プラセディス・G・ゲレロ、グアダ・ルペ、コヤメ・デル・ソトル、オヒナガ、マヌエル・ベナビデス
コアウイラ州;オカンポ、アクニャ、サラゴサ、ヒメネス、ピエドラス・ネグラ、ナバ、ゲレロ、イダルゴ
ヌエボレオン州;アナワク
タマウリパス州;ヌエボ・ラレド、ゲレロ、ミエル、ミゲル・アレマン、カマルゴ、グスタボ・ディエス・オルダス、リオ・ブラボ、バジェ・エルモソ、マタモロス

Q2. メキシコの雇用労働関連法令はどのようなものがあるのですか?
A2: メキシコの労働関係法令は主に憲法第123条および連邦労働法、連邦社会保障法により規定されています。主な雇用労働関係法令は以下の通りです。
「・メキシコ合衆国憲法」(Constitución Política de los Estados Unidos Mexicanos)
・連邦労働法(Ley Federal del Trabajo)
・連邦社会保障法(Ley del Seguro Social)
・勤労者住宅基金公団法(Ley del Instituto del Fondo Nacional de la Vivienda para los Trabajadores)
・勤労者の生活基金公団法(Ley del Instituto del Fondo Nacional para el Consumo de los Trabajadores)
・社会福祉法(Ley de Asistencia Social)
・計画法(Ley de Planeación)
・政府職員の安全・社会奉仕協会に関する法(Ley del Instituto de Seguridad y Servicios Sociales de los Trabajadores al Servicio del Estado)
・零細企業と手工業者の仕事の振興に関する一般法(Ley General para el Fomento de la Microindustria y la Actividad Artesanal)
・差別防止・除去に関する法律(Ley Federal para Prevenir y Eliminar la Discriminación)
・原住民の発展のための国家委員会法(Ley de la Comisión Nacional para el Desarrollo de los Pueblos Indígenas)
・労働安全衛生に関する規制(Reglamento Federal de Seguridad, Higiene y Medio Ambiente de Trabajo)
・計測と標準化に関する連邦法(Ley Federal sobre Metrología y Normalización)
・労働者のための食品援助法(Ley de Ayuda Alimentaria para Los Trabajadores)
・高齢者の権利に関する法律(Ley de los Derechos las Personas Adultas Mayores)
・退職積立制度に関する法律(Ley de los Sistemas de Ahorro para el Retiro)
・住宅法(Ley de Vivienda)
・育児等に対するサービスの提供に関する一般法(Ley General de Presentación de Servicios para la Atención, Cuidad y Desarrollo Integral Infantil)
・タバコ規制に関する一般法(Ley General para el Control del Tabaco)
・憲法第123条B)に規定する連邦サービスにおける労働者に関する連邦法(Ley Federal de los Trabajadores al Servicio del Estado, Reglamentaria del Apartado B) del Artículo 123 Constitucional)

Q3. メキシコで雇用契約書の締結は必須ですか?
A3: 使用者と労働組合とで締結される労働協約がない場合は、使用者と各労働者との間で契約書を締結する必要があります。なお、労働契約自体は、給与の支払を目的とした労働の提供が行われれば成立します。

Q4. メキシコにおいて試用期間の規制はありますか?
A4: 無期限もしくは180日以上の雇用契約の場合、試用期間を設けることができます。予め期間を定めることは要しませんが、最長30日(管理職等の役職付の場合は180日)に制限されています。また、使用者に適用される社会福祉等に必要となる雇用期間にこの試用期間を含める必要があります。

Q5. メキシコの労働時間の規制は日本と同じですか?
A5: 連邦労働法には、1日当たりの最大労働時間は日勤(6時から20時)の場合8時間、夜勤(20時から6時)の場合7時間、日勤から夜勤にわたる場合7.5時間(ただし、20時以降の勤務時間は3.5時間未満に限られる。)と規定されています。なお、土曜日の午後を休業にするといった目的であれば、1週間の労働時間を分配することが認められています。また、6就業日ごとに休日を設ける必要があることから、週の最大勤務時間は、それぞれ48時間、42時間、45時間となります。

Q6. メキシコの休憩時間の規制はありますか?
A6: 一日当たり少なくとも30分の休憩を付与する必要があります。また、工場等のようにこの休憩時間に勤務場所から離れられない環境にある場合は、休憩時間も勤務時間に含めて考えなければなりません。

Q7. メキシコの時間外労働の上限はありますか?
A7: 時間外労働は1日当たり最大3時間、週に3日までと規定されています。

Q8. メキシコの時間外労働手当の割増率はいくらですか?
A8: 1日当たりの勤務時間を超えた場合の割増賃金率は、通常賃金の100%となります。また、週の時間外勤務の時間が 9時間を越えた場合は、通常賃金の200%となり、割増賃金として通常の2倍もしくは3倍を支払わなければなりません。
休日は原則日曜日とされており、この日に出勤した場合の割増賃金率は25%となります。また、法定の祝日に勤務した場合は、割増賃金率は100%となり、通常の2倍の給与を支払わなければなりません。

Q.9 メキシコの有給休暇は何日ですか?
A9: 勤続1 年以上の労働者は、有給休暇を取得する権利が法律上保障されています。取得できる休暇日数は勤続期間によって異なり、勤続2年未満の場合は6 日、勤続2年以降は勤続1年ごとに2日が追加されます。勤続5年以降は5年ごとに2日が追加されます。なお、有給休暇の取得に対しては、少なくとも通常の賃金の25%の額を報奨金として支払わなければなりません。

Q10. メキシコは有給休暇以外にどのような休暇がありますか?
A10: メキシコでは有給休暇のほか出産育児休暇があります。出産予定の女性には、出産の前後6週間休暇を取得する権利があり、この期間の給与は100%支払うこととされています。

Q11. メキシコにおいて雇用契約が終了する場合としてどのような場合が規定されていますか?
A11: 次の場合には、雇用契約が終了すると規定されています。
(1)使用者と労働者の相互の同意がある場合
(2)従業員が死亡した場合
(3)職務の終了(完了)あるいは労働者の雇用期間の満了の場合
(4)労働者の精神的または身体的な障害が認められる場合
(5)破産、その他不可抗力など使用者の責に帰すべき事由によらず事業の継続が困難となった場合

Q12. メキシコの解雇規制はどのような内容ですか? 
A12: メキシコでは使用者及び労働者は正当な事由がある場合に、責任を負うことなく雇用契約を終了させることができ、使用者が責任を負うことなく解雇できる事由として次のものが規定されています。
(1)就業の際に虚偽を用いた場合
(2)業務において不正行為または脅迫、侮辱などを含む暴力的行為を行った場合
(3)同僚に対する業務の規律を乱す不正行為または脅迫、侮辱などを含む暴力的行為を行った場合
(4)使用者、顧客や取引先、又はその家族に対する正当な理由のない脅迫、侮辱などを含む暴力的行為を行った場合
(5)故意に建物、機械など使用者の財産に損害を与えた場合
(6)過失によって建物、機械など使用者の財産に損害を与えた場合
(7)不注意により職場の安全を脅かす行為があった場合
(8)職場におけるセクシャルハラスメントやいじめなどの非道徳的行為があった場合
(9)企業秘密や守秘義務を負う情報について漏洩があった場合
(10)30日間のうち3日超の正当な理由のない欠勤があった場合
(11)正当な理由のない業務命令違反があった場合
(12)職場における安全規則違反があった場合
(13)職場での酩酊または違法な薬物の使用があった場合
(14)懲役刑に処された場合
(15)労働者に起因する事由によって、就労に必要な書類が欠如しており、使用者がこれを知ってから2ヶ月を経過しても改善されない場合
(16)そのほかこれに類する重大な行為があった場合
使用者は当該労働者に対して、当該事由及びその事由が発生した日付を記した書面によって解雇を即日かつ直接通知するか、解雇日から5日以内に管轄裁判所に通知する必要があります。なお、解雇事由の立証責任は会社にあり、立証できなかった場合は、当該労働者は復職か解雇補償金の支払を請求することができます。また、不当解雇と認定された場合は、当該労働者が係争期間中に得られたであろう賃金等についても支払わなければなりません。

Q13. メキシコも社会保障制度がありますか?
A13: メキシコでも健康、医療補助、個人のニーズへの対応と個人と集団の福祉のために必要となる社会サービスへのアクセスを保障すること目的として社会保障制度が用意されています。メキシコの社会保障制度は、労働者の給与から算出される金額を強制的に使用者が支払う仕組みとなっています。負担率は労働者の職種や賃金水準で異なり、おおよそ15~30%ほどと想定されます。運用はメキシコ社会保障公社(IMSS;Instituto Mexicano de Seguro Social)が担っており、労働者は労災保険や医療保険、障害保険、生命保険、退職年金、失業保険等の保険やケアサービスなどの給付を受けられます。

Q14. メキシコの年金制度の根拠法はありますか?
A14: メキシコでは民間の労働者に対する年金制度として連邦社会保障法のもと退職積立金制度(Sistemas de Ahorro para el Retro/SAR)を設けています。より詳細な規定は退職積立年金制度法によることになりますが、使用者は労働者の年金積立金を各労働者の給与に基づく基準給与の5.15%を拠出金として納める義務を負います。

Q15. メキシコの定年について規制はありますか?
A15: メキシコにおいて定年を明確に規定するものはありません。しかし、退職年金を受給する資格が、IMSSへの登録が1997年より前の方は60歳、1997年以降の場合は、65歳となるため、現在では一般に65歳といわれています。

Q16. メキシコにおいて女性労働者に対してのみ適用される法令はありますか?
A16: 連邦労働法第5章において、女性労働者に関する規定が設けられており、男性労働者との権利義務の平等や22時以降の労働の禁止など妊娠、授乳期にある女性や女性特有の健康障害がる女性の権利が定められています。また、2019年の改正においては平等な待遇と機会の確保が追加されました。

【メキシコのビザに関するQ&A】

Q1. メキシコで働く場合、どのようなビザを取得する必要がありますか?
A1: メキシコで報酬を得る場合、メキシコ滞在期間に応じて次のビザが必要になります。
・滞在期間180日以内の場合 報酬を得る活動を行う許可を得ている訪問者用ビザ
・滞在期間181日以上の場合 報酬を得る活動を行う一時居住者用ビザ
なお、出張や会議参加といったメキシコで報酬を得ない活動の場合は、メキシコ滞在期間が180日以内であればビザは必要ありません。180日を越える場合は、メキシコ国内で報酬を得ない活動を行う一時居住者用ビザを取得する必要があります。

Q2. メキシコで報酬を得る場合のビザを取得するための要件はどのようなものがありますか?
A2: ビザの取得には、まず、メキシコ出入国管理庁(INM: Instituto Nacional de Migración)に対して入国許可証(Permiso de Internación)を申請し、これを取得する必要があります。なお、この申請は代理人も行うことが可能であり、また、申請時にはビザ申請者の個人情報と仕事の詳細(滞在期間、役職、報酬など)も申請します。
更に、メキシコにおける受け入れ側としての用件として雇用主登録が必要となります。雇用主登録とは、外国人を雇用する会社がメキシコ出入国管理庁に対して申請し、登録を受けることで、在留許可手続における雇用主としての資格や手続における会社代表者の権限を予め認めてもらうものです。この雇用主登録は州ごとに行う必要があり、外国人を受け入れる予定のある事業所が複数ある場合は、各々登録する必要があります。また、雇用主登録は毎年更新しなければならず、変更があった場合は30日以内に通知する必要があります。

Q3. 報酬を得る場合のビザの申請はどのように行うのですか?
A3: 入国許可証を取得後、これに記されたNUT番号(Número Único de Trámite)を以って在外メキシコ大使館にビザ申請の予約をいれ、予約の日時に必要書類を揃えて大使館に出向き面接を受けます。面接では申請内容の確認が行われますので、メキシコ側での申請内容を事前に確認しておく必要があります。なお、ビザの有効期間は 180日であり、180日超の滞在となる報酬を得る活動を行う一時居住者用ビザの場合は、ビジターカード(FMM:Forma Migratoria Múltiple)を用いてメキシコに入国し、その後30日内に一時滞在カード(TRT: Tarjeta de Residente Temporal)を取得する必要があります。

Q4. 報酬を得る場合のビザの申請のための必要書類は何ですか?
A4: 報酬を得る場合のビザの申請には以下の書類が必要になります。
1.パスポート 原本とコピー1部(写真ページのA4コピー)
2.入国許可証(NUT番号が記載されたもの)のコピー
3.申請用紙
4.写真1枚
(3cm×4cm、背景白、めがね、アクセサリー等を付けず、額と耳が出ているもの)
5.在日メキシコ大使館以外の大使館に申請する場合は、その国の在留カードなど居住許可 を証明するもの

Q5. 報酬を得る場合のビザを取得する場合、家族の同伴も可能ですか?
A5: 報酬を得る場合のビザを取得者の家族がメキシコに滞在する場合、日本国籍であればその滞在が180日以内であればビザなしで滞在が可能です。それ以上の滞在となる場合は、180日の滞在の間に居住所を管轄するメキシコ出入国管理庁の支局にて手続を行うことで、同居家族(Unidad familiar)の枠で在留カードを取得することができます。

Q6.一時滞在カードの有効期限はありますか?
A6: 初回のTRTの有効期限は1年間となり、期限1ヶ月前から、更新手続を取ることが可能です。なお、更新後の期限は1年間、2年間、3年間から選ぶことが可能ですが、一時滞在者資格は最長4年間となるため、その後も滞在する場合は、永住者カード(TRP: Tarjeta de Residente Permanente)を申請し、取得する必要があります。

Q7.ビザ取得の際に考慮される日本人の報酬の下限額はありますか?
A6:メキシコでは外国人のみに適用される報酬額の規制はありません。ただし、ビザ申請に必要となる入国許可番号の申請時に報酬を含めた就労の条件を申告しますので、Q3にも記したとおり、その内容とビザ申請時の申告内容が一致していることが重要になります。また、入国許可番号の発行及びビザの発給は審査当局の判断によりますので、申告した報酬額が考慮されることも否定できません。

【メキシコの土地法制に関するQ&A】

Q1. 外国会社がメキシコの土地を取得できますか?
A1: 憲法第27条第1項は、メキシコの土地を取得する権利を有するものは出生や帰化によってメキシコ国籍を有する人やメキシコ法人と規定しています。メキシコ法人とは【メキシコ進出方法に関するQ&A】Q6でも記したように、メキシコにおいて設立された法人を言います。また、同項によるとカルボ条項を受け入れ外務省の許可を得ることで外国人(自然人及び法人)であっても土地を取得することができます。なお、国境から100km以内及び海岸線から50km以内の土地(規制地域)を外国法人が取得することは出来ません。また、農業や畜産、林業等の目的のための土地の取得の場合は、取得面積に制限が設けられています。なお、メキシコ法人であってもその定款に外国人排除条項(直接もしくは間接的にパートナーもしくは株主として外国人もしくは外国資本が参入する法人を受け入れないとする条項)を設けていない法人、すなわち外国人もしくは外国資本が参加する法人を株主に持つ法人は、規制地域内の土地については、居住以外の目的でのみ取得が可能であり、購入後60営業日以内に外務省に届出を行わなければなりません。

Q2. メキシコの土地取得に関して最低取得額の規制はありますか?
A2: メキシコの土地取得について最低取得額というような規制は見られません。

Q3. メキシコの土地を取得する際の申請先はどの機関ですか?
A3: まず、外国法人が土地を取得しようとする場合は、憲法第27条項第1項に定める協約を取り決めた書状を事前に外務省に提出し許可を受ける必要があります。その後、売買契約について公証人に書面の作成を依頼し、売買契約公正証書に署名後、その謄本を以って法務局(Registro Público de la Propiedad y del Comercio del Estado)に登記を行います。なお、取得金額が最低賃金の365倍の額より小さい場合は、公証人による手続のほか、登記官による手続も認められています。

Q4. メキシコの土地の登記はどのような効力を有していますか?
A4. メキシコにおいて個人や法人によって所有される土地は私有地として扱われ、登記の必要があります。この登記は土地所有の対抗要件となります。

Q5. メキシコの土地の登記は第三者も閲覧できますか?
A5: 不動産登記簿はその不動産が在する管轄の法務局の支局において第三者も閲覧可能です。閲覧の際は、その不動産の住所もしくは区画や街区、地籍コードもしくは以前の登録証(謄本または原本)を以って申請する必要があります。なお、登記簿はスペイン語です。

Q6. メキシコにおいて土地と建物は別個の権利対象となりますか?
A6. 伝統的にメキシコの土地の所有者はその土地およびその土地から生じ、またはと地上にあるものを享受する権利を有すると考えられています。ただし、コンドミニアム等部分所有も認められており、登記も可能ですが、各州の法律にもよりますので注意が必要です。

Q7. メキシコの土地の賃貸借に規制はありますか?
A7: 外国人が取得することのできない国境から100km以内及び海岸線から50km以内の土地については、外国人は信託方式で使用することが可能となります。この場合、最高50年間更新が可能です。

Q8. メキシコにおいて、日本の借地借家法のように賃借人を保護する法令はありますか?
A8: 連邦レベルにおいては、個別に賃借人を保護する法律はありませんが、賃貸借取引について規定する法律として民法(Codigo Civil)があります。

Q9. メキシコに不動産鑑定士はいますか?
A9: 不動産鑑定士は国家資格として存在します。

Q10. メキシコで不動産を取得する場合の印紙税率はいくらですか?
A10: メキシコでは印紙税は導入されていません。不動産取得の手続費用は、公証人手数料、不動産登記・地籍登録関連政府手数料、不動産取得税、査定費用などがあります。

Q11. メキシコで不動産を譲渡して利益が出た場合、課税額はいくらですか?
A11. メキシコではキャピタルゲイン課税が行われます。メキシコ法人の場合、30%、外国法人の場合、その売却額の25%もしくは、売却益の35%の税金が課されます。

【メキシコの外資規制に関するQ&A】

Q1. メキシコで外資が製造業を行うことは可能ですか?
A1. 原則、製造業は規制業種ではありませんので、100%外国資本であっても行うことは可能です。ただし、爆発物・花火・銃火器などの製造と販売は外国資本率が49%以下でなければならないとされています。

Q2. メキシコで外資がサービス業を行うことは可能ですか?
A2. 原則、外資がサービス業を行うことは可能ですが、次の業種は規制されています。
国家に留保される(民間の参入が禁止されている)もの
・電報サービス
・無線電信サービス
・郵便
・港湾・空港・ヘリポートの管制・管理・監督
・そのほか特に法が定めるもの
定款に外国人排除条項(【メキシコの土地法制に関するQ&A】Q1をご参照ください。)を有するメキシコ法人に限定されるもの(すなわち、外資の参入が認められないもの)
・旅客・観光・貨物国内陸上輸送(宅配便サービスを除く)
・適用法に明確に示される専門的・技術的なサービス提供
外国出資比率が規制されるもの
・出資率10%以下 共同組合
・出資率49%以下 森林・牧畜・農業用の土地を所有する会社のTシリーズ株式、港湾総合管理業(API)、海運法に基づく国内航路の水先案内港湾サービス、観光用クルーザーを除く内国海運会社(沿岸・内航路で商業用船舶操縦に従事、または港湾の建設・維持・運営に従事するもの)、船舶・飛行機・鉄道機器の燃料・潤滑油供給、ラジオおよび地上波テレビ放送(ただし、投資相手国内法で同業種に対し投資比率規制を行っている場合は、相互主義として49%を超えない範囲で同率とする)、国内航空輸送、エアタクシー輸送、特別航空輸送
外資参加率が49%を超える場合、外資委員会の承認が必要とされる規制業種
・曳航、係留、用船などの港湾サービス
・遠洋運輸の船舶操業に従事する海運会社
・公共飛行場の認可またはコンセッション会社
・幼稚園、小学校、中学校、高校、上級学校の私立学校サービス
・法務サービス
・公共鉄道サービスの提供と鉄道の建設・操業・管理

Q3. メキシコで外資が飲食業を行うことは可能ですか?
A3: 外資が飲食業を行うことは可能です。

Q4. メキシコで外資が小売業を行うことは可能ですか?
A4: 外資が小売業を行うことは可能です。

Q5. メキシコで外資が理美容業を行うことは可能ですか?
A5: 外資が理美容業を行うことは可能です。

Q6. メキシコで外資がマッサージ事業を行うことは可能ですか?
A6: 外資がマッサージ事業を行うことは可能です。

Q7. メキシコで外資がジム等の事業を行うことは可能ですか?
A7: メキシコで外資がジム等の事業を行うことは可能です。

Q8. メキシコで外資が学習塾を行うことは可能ですか?
A8: 外資が学習塾を行うことは可能です。

Q9. メキシコで外資が金融業を行うことは可能ですか?
A9: 外資による金融業も認められていますが、新規に子会社方式で商業銀行を設立する場合は、金融機関法により、自由貿易協定または類似の取り決めがなされている国に居住する銀行に限られています。

Q10. メキシコでフランチャイズ規制はありますか?
A10: フランチャイズについて外資規制はありませんが、産業財産法において、フランチャイズ契約に関する事項が定められていますので、その規定に従う必要があり、またその事業の種類によっては関係法令に従う必要があります。

Q11. メキシコにおいて外国人雇用規制はありますか?
A11: 労働者の90%はメキシコ人であることが規定されています。

【メキシコの解散、清算及び破産に関するQ&A】

Q1. メキシコにおける解散や清算はどのような種類が存在しますか?
A1: 会社法に定められる会社の解散事由は次の6つです。
(1)定款に規定する会社存続期間の満了
(2)会社の主たる事業目的の遂行不能もしくは完了
(3)株主等の合意
(4)株主等の数の不足
(5)会社資本の3分の2の欠損
(6)関係法令に基づく司法上もしくは行政上の判断

Q2. メキシコにおける解散・清算手続きはどのような流れになりますか?
A2: 会社法に基づく解散・清算手続きは次の手順の通りです。なお、電子申請による手続も認められています。
(1)解散決議の採択、登記・通知
(2)清算事務
(3)清算終了貸借対照表の公告
(4)清算事務と清算終了貸借対照表の承認、登記・通知
(5)残余財産の配分
(6)会社の消滅
(7)清算人による書類保管

Q3. 解散・清算の場合、取締役や会社の権限はどうなりますか?
A3: 会社の清算が決定し、清算人が指名された後は、原則、取締役や会社は新たな業務に携わることはできません。清算手続きは全て清算人に委ねられることになります。

Q4. 司法上もしくは行政上の判断による清算とはどのような場合ですか?
A4: 関係法令にもとづくものは業種によりますが、広く共通する例では、犯罪目的など公序・良俗に反する目的で設立された会社である場合、債権者の訴えによって清算すべきとの判断がなされた場合などが考えられます。

Q5. 債務超過の場合の解散も同じ手続きですか?
A5: 原則同じです。

Q6. メキシコで破産する場合の手続きはどうなりますか?
A6: 破産手続は商事破産法(Ley de Concursos Mercantiles)に従い行うことになります。まず、債務者自らもしくは債権者によって、裁判所に破産の申し立てを行いますが、債務者自身による申し立ての場合は、このときに再建計画書を提出するか否かで、後の工程が異なります。再建計画書を提出しなかった場合は、裁判所は専門家に当該債務者を調査させ破産に値するか否かの意見を求める必要があり、その意見に基づき判断します。再建計画書が提出された場合は、前述のような調査等を行わず、破産宣告が出されます。債権者による申し立ての場合も再建計画書を提出しない場合の申し立てと同じ手順となりますが、この場合は9日間の異議申立期間が設けられます。破産宣告が出されると、管財人が選任され、法令にもとづく手続が取られることになります。

【メキシコの裁判及び仲裁制度に関するQ&A】

Q1. メキシコの裁判制度はどのようになっていますか?
A1: まず大きく連邦レベルと州・連邦特別区レベルに分けられます。連邦レベルの司法権は最高裁判所、アンパロと呼ばれる保護請求訴訟を担う巡回合議裁判所・巡回裁判所、地区裁判所・選挙裁判所にあります。最高裁判所と選挙裁判所を除く各裁判所は連邦司法会議の管理監督のもと権利を行使します。州レベルにおいては、各州・地区の規定によりますが、一般には上から上級司法裁判所、第一審裁判所、下級裁判所が設けられ、更に下のレベルには小額裁判所、治安裁判所、地方裁判所、郡裁判所というように様々な名称の裁判所があります。これらの裁判所は事件内容や訴額によって使い分けられています。

Q2. メキシコの民事訴訟制度はどのようになっていますか?
A2: メキシコでの民事訴訟は、裁判所に対して訴状を提出することで開始されます。一般的に民事訴訟手続は次の5つの段階に分けられます。なお、メキシコの民事訴訟では陪審員制度は設けられていません。
(1)召喚状の送達
(2)調停審問
(3)証拠の提出
(4)最終弁論
(5)判決

Q3. メキシコにおいて日本の判決は執行されますか?
A3: メキシコにおいて日本の判決を執行するためには、メキシコの裁判所で承認を得る必要があります。なお、承認は適用されうるメキシコ国内の法令にもとづき判断されます。

Q4. メキシコにおいて労働事件に関する特別な取扱は存在しますか?
A4: メキシコでは労働者と使用者間に発生する労働紛争の解決は憲法の規定により、まず公聴会の形式を取る調停センターにて扱い、その後、労働裁判所で行うこととされています。

Q5. メキシコに調停制度は存在しますか?
A5: 連邦レベルの規定としては、刑事事件について調停を規定するものがありますが、民事において調停を規定するものはありません。ただ、民間の紛争解決機関もあり、民事においても調停を利用するケースは増えています。

Q6. メキシコにおける仲裁制度はどのようになっていますか?
A6: 仲裁に関する規定は商法や連邦民事訴訟法にみられ、商法の規定はUNCITRAL国際商事仲裁モデル法に対応したものとなっています。また、ニューヨーク条約を1971年に、パナマ条約を1978年に批准してしています。仲裁はメキシコ国内法及び国際法に基づき行われ、仲裁判断は裁判判決と同等の効力を持つとされています。メキシコの仲裁判断はニューヨーク条約に基づき外国でも執行することができるとされています。また、同様に外国仲裁判断についても裁判所から執行の許可を取得して執行することができます。なお、この場合の裁判所は当事者の選択により、連邦裁判所もしくは州裁判所となります。

【メキシコの特許に関するQ&A】

Q1.どのような発明なら、特許を取得できますか?
A1.次のものを除き、産業財産法(Ley de la Propiedad Industrial)の条項に基づき、進歩性の成果から生じた産業上の利用可能性を有する新規発明は、特許を受けることができます。(産業財産法第4条、第16条)。
(1)公序良俗、道徳又は適正な慣行に反する内容のもの
(2)動植物の発生、複製又は繁殖を目的とする本質的な生物学的方法
(3)自然界で発見される生物学的及び遺伝学的材料
(4)動物の品種
(5)人体及び人体を構成する生きた材料
(6)植物の品種

Q2.発明とは、どのように定義されていますか?
A2.メキシコにおいて、発明は
「自然界に存在する材料若しくはエネルギーを人の特定の需要を満たすよう使用することができる形に変える人の創造(産業財産法第15条)」の事をいいます。

Q3.特許を受ける事ができない発明はありますか?
A3.特許を受ける事ができない発明として、以下(1)~(8)が挙げられます。(産業財産法第19条)
(1)理論上又は科学上の原理
(2)従来人間に知られていなかったもの、自然界に既に存在していたものを公開又は公表する研究成果
(3)精神作用を実行し、遊戯を行い、又は事業活動を遂行するための図式、計画、規則及び方法、ならびに計算方法
(4)コンピュータプログラム
(5)情報提供の方法
(6)美的創造物、芸術作品及び文学作品
(7)人体又は動物に適用可能な外科手術、治療又は診断処置方法
(8)既知の発明の組み合わせ、既知製品の混合、又はそれらの使用法、形状、寸法又は材料の変更。ただし、現実にそれらの結合若しくは一体化の程度が強く個々の状態では機能しない場合、及びそれら構成要素の特徴又は機能が大きく変化しており当該分野の技術に熟知する者にとっても自明でなかった産業上の成果若しくは利用法を生み出すように変更している場合は除く。

Q4.出願する際の言語は何ですか?
A4.出願言語はスペイン語になります。出願の際に他の言語で作成された書面を提出する場合はスペイン隠語の翻訳文を添付しなければなりません。(産業財産法179条)

Q5.特許出願の際、必要となる公的費用はいくらですか?
A5.特許出願には審査請求制度がなく、全ての出願に対して審査が行われるため、出願時に審査請求費用を含んだ次の費用が必要となります。また、次の費用には、16%の付加価値税が課されます。
出願(願書30枚まで): 4550ペソ
            願書1枚追加ごとに61ペソが加算されます。
出願願書の修正若しくは変更:818.08ペソ/回
早期公開請求:1185.35ペソ

Q6.実用新案出願から特許出願への変更はできますか?
A6.出願の内容が出願した保護法式と一致していないと考えられる場合、出願日から3ヶ月以内又は産業財産庁が出願人に出願変更を要求する日から3ヶ月以内であれば、実用新案出願を特許出願に変更することができます。また、特許出願から実用新案出願への変更も同様に可能です。(産業財産法第49条)

【メキシコの商標に関するQ&A】

Q1. 商標を登録すると,どんなメリットがありますか?
A1. 商標が登録されれば,その商標を排他的に使用することができ、その権利を侵害している者に対して,同一若しくは類似の商標の使用を除去し、損害賠償を請求する事ができます。このほか行政措置や刑事罰も設けられています。

Q2. 商標の出願には,何を準備する必要がありますか?
A2. 商標の出願は願書の提出を以って行います。次の情報を記載する必要があります(産業財産法第113条)。なお、願書においてはスペイン語を用いる必要があります。
(1)出願人の名称及び住所
(2)登録しようとする商標
(3)登録しようとする商標が最初に使用された日、又はこれが未使用であることの記載(記載がない場合は、当該商標は未使用であると認識される)
(4)登録しようとする商標が使用される製品やサービス
(5)そのほか産業財産法の規定に定められる事項

Q3. 商標出願時の公的機関への費用はいくらですか?
A3. 商標出願には次の費用が必要となります。なお、以下の金額に16%の付加価値税が課されます。
・出願: 2695.18ペソ

Q4. 商標の出願の流れは,どのようになっていますか?
A4.「出願→公告→方式審査→実体審査→登録」という流れになっています。出願から登録までの平均的な審査期間は6ヶ月から12ヶ月といわれていますが、手続きは遅れることも多く、余裕をもって時間を見ていただく必要があります。

Q5. 実体審査では,どのような事が審査されますか?
A5.実体審査では,絶対的識別性(Inherent distinctiveness)、商品・サービスとの関係における識別性、先行商標との類似性などについて審査されます。

Q6. 出願予定の商標が識別性を有しているかどうかの判断が難しい場合,出願する以外の方法はありますか?
A6.出願予定の商標が識別力を有しているかの判断については、審査官の判断によりますので、十分にご検討のうえ出願いただくことになります。
 なお、審査官に商標登録の用件を満たさないと判断された場合は、書面によって拒絶理由が通知され、出願人には反論の機会又は補正の機会が与えられます。

Q7. 登録できない商標としてはどのようなものがありますか?
A7. 商標登録されない標章として次のものが規定されています。(産業財産法第90条)
(1)商標の保護が求められる商品又はサービスの技術的若しくは普通に用いられる名称及び日常の用語や営業慣行により当該商品若しくはサービスの普通名称又は一般的呼称となっている言葉
(2)公知である又は一般公衆の利用することができるものとなっている立体の形状, 他との区別を容易とする独自性を欠く立体の形状及び商品の普通若しくは日常的な形状又は 性質若しくは工業的機能によって定まる形状
(3)公知である若しくは独自性に欠けるホログラム
(4)商品又はサービスの種類,品質,数量,成分若しくは内容、用途,価格,原産地名又は生産時期を特定する機能を果たす説明的若しくは指示的な用語を含め、商標保護を与えようとしている商品又はサービスを説明する全体のものと認められる標章。
(5)独立した文字、数字または色。ただし、これらが特別な顕著性を持つ標章と組み合わせ、若しくは伴う場合は除く
(6)登録できない言葉の翻訳、その綴りの並び替えや人工的な組み合わせ、及び登録できない標章の音訳
(7)国家,州,地方自治体その他の行政主体の紋章,旗若しくは記章を無許諾で複製又は模倣したもの,及び国際機関,政府機関若しくはNGO その他公認された組織の名称,略称,標章または紋章及び公的に使用されている署名,並びにそれらに関する呼称
(8)所轄官庁の許可なくメキシコ国で採用する管理若しくは保証用の公的標識若しくは公印を複製又は模倣した標章,又は硬貨,銀行券,記念硬貨その他メキシコ国若しくは外国の法貨を複製若しくは模倣した標章
(9)公認の見本市,物産展,集会,文化行事又はスポーツ大会において授与される勲章,メダルその他の賞の名称、標章又は図式表示を複製又は模倣するもの
(10)固有又は普通の地理学上の名称及び地図,さらには国を示す名詞又は形容詞で,商品
又はサービスの出所を表示しそのような出所に関する混同若しくは誤認を生じさせる可能
性があるもの。「género」「tipo」「manera」「imitación」「producido en」「con fabricación en」といった表現や、その表現を伴うもので消費者に誤解を生じさせるような表現を含む。
(11)特定の商品の製造もしくは特定のサービスの提供で知られている都市若しくは場所の名称で,それら商品を保護するためにつけられているもの。「género」「tipo」「manera」「imitación」「producido en」「con fabricación en」といった表現や、その表現を伴うもので消費者に誤解を生じさせるような表現を含む。
(12)特定の商品の製造やサービスの提供で特徴付けられる著名な私有地の名称のうち、その所有者の同意を得ていないもの。
(13)使用することで、関連の恐れが生じ、もしくは消費者の誤認、誤用、混乱につながる可能性がある著名な人物の名前、姓、ニックネーム、または筆名。ただし、当該人物の場合、当該人物もしくはその権利を有する者の場合は除く。また同様に、権利を有する者の明示の同意がなく、もしくはその者が死亡している場合の、当該人物のイメージ画、識別しうる声、ポートレートや映像。
(14)文学作品や芸術作品の作品名と混同するような名前や名称、またそのような作品名を模倣したものであって、広く一般に誤認を招き、当該作品と関連があるものと誤解しうるもの。ただし、当該作品の正当な権利者から明示の承諾を得ている場合を除く。また同様に、その作者から明示の承認を得ずに、文学作品や芸術作品の全部または一部の複製となる標章。同じく、そのような作品に描かれる架空の人物や象徴的な人物、あるいはそれらと関連があると誤解しうる特徴を持つ人物像。ただし、その作者自身若しくは、作者の同意を得た第三者による申請の場合は除く。
(15)サービスや商品を区別することにつながる企業名、特性、性質、構成要素に関する不適切な表示といった、一般に誤認されもしくは誤解を招くような恐れのある標章。
(16)商品若しくはサービスに使用されるものとして第4章第2節の各条項にもとづきメキシコで周知であると産業財産権庁が判断する又は宣言する商標と同一もしくは類似した標章であって、以下のような場合に該当するもの。ただし、登録出願人が周知商標の所有者である場合は除く。
(a)周知商標の所有者との混同若しくは提携関係の誤認を生じさせる恐れがある場合
(b)周知商標の所有者に無許諾の盗用である恐れがある場合
(c)周知標章の信頼性を害する恐れがある場合
(d)周知商標の顕著な特徴を希釈化する恐れがある場合
(17)商品若しくはサービスに使用されるものとして,第4章第2節の各条項にもとづき有名であると産業財産権庁が判断又は宣言する商標と同一もしくは混同させる程に類似した標章。ただし、登録出願人が有名商標の所有者である場合は除く。
(18)先に出願がなされ登録手続中又は既に登録され現在も有効な別の商標と同一もしくは混同させる程に類似しており,かつ同一若しくは類似する商品又はサービスに使用される標章。
(19)当該標章によって保護しようとする商品若しくはサービスの製造若しくは販売又は提供を主たる業務とする会社又は工業,商業若しくはサービスの事業所によって使用される商号で,当該標章の登録出願日又は最初の使用の宣誓日よりも前に使用されているものと同一もしくは混同させる程に類似しているもの。ただし,当該商号の所有者による商標登録出願であって、他の同一の商号が公示されていない場合は除く。
(20)同一もしくは類似の商品もしくはサービスに使用される出願がなされ登録手続中の商標または登録され現在も有効な商標または公表された商品名と同一または混同させる程に類似した自然人の正式名称。
(21)保護されている動植物の品種を表す名称またはそれらの構成要素を再現または模倣する標章であって、指定された商品またはサービスに関して消費者に誤解を招く恐れがあるもの。
(22)悪意で出願申請された標章。そのほか、産業財産権システムにおける善良な使用や行いに反する方法で登録申請が行われた場合や正当な権利者を害し利益を得る意図が見られる場合も悪意とみなされる。
なお、これらのうち、(1)~(6)の条件は、市場での使用の結果生じた特徴を有する商品またはサービスの商標が出願された場合は適用しない。
また、(2)の条件は、性質または機能性に固有の形態が独自性を獲得することないと解されるため、商標が立体であって市場での使用の結果生じた固有の特徴を有する場合は適用しない。

Q8. 指定商品・指定役務を指定する際,どのように指定すれば良いですか?
A8.メキシコはニース協定に加盟しており、商品・役務の分類にはニース分類が採用されています。出願人はこれに従い分類を指定することができますが、どの分類に属するかは、最終的には産業財産庁によって決定されます。また,メキシコでは1出願1区分制が採用されているため,多区分にわたる商品・役務の指定は認められません。

Q9. メキシコへ商標出願する際,マドプロ制度を利用する事はできますか?
A9.メキシコはマドプロには2013年に加盟していることから、マドプロ制度を利用できます。

【メキシコの弁護士制度に関するQ&A】

Q1:メキシコの弁護士資格はどうすれば取得できますか?
A1:メキシコの弁護士(abogado)資格(Cedula Professional)は、公教育省(Secretaría de Educación Pública)もしくは特定の国立大学の承認を受けた法学位を取得したのち、公教育省に登録を行うことで取得できます。なお、法学位の取得には通常4~5年かかるといわれており、講義の履修が終了するとボランティアの実務実習を行う必要があります。

Q2:メキシコに弁護士会はありますか?
A2:メキシコでは、弁護士として業務を行う際の弁護士会への登録は必要ありません。従って、いくつかの弁護士会が存在しますが、登録している弁護士は極めて少ないと言われています。

Q3:メキシコで外国の法律事務所は活動できますか?
A3:現在、外国の法律事務所に特化した特別な規制などはありません。外国の法律事務所は一企業として外国法及び国際法に関するアドバイザリー業務を提供できます。なお、当該法人の外国出資率が49%を超えた場合は外国投資委員会の承認が必要となります。

Q4:メキシコに司法書士や行政書士と同様の資格はありますか?
A4:メキシコには、司法書士や行政書士のような隣接法律職は存在せず、弁護士がこれらの職務も包括して行います。

【メキシコの法改正に関するQ&A】

Q1: メキシコの法改正の動向を教えてください?
A1: メキシコは頻繁に法改正が行われているといわれています。昨今のメキシコの法改正を見ると、労働法の改正、行政手続きの電子化に伴う改正など、ビジネス環境の改善につながるものも多く見られます。しかしながら、例えば、労働紛争解決の手段について、2016年に憲法改正が行われるも、実務レベルのルールが未制定で施行が遅れるといった問題も見られ、状況の把握が重要になります。

Q2: 今後の注目すべき法改正はありますか?
A2: ロペスオブラドール大統領が2018年に就任したことに伴い、多くの法改正が行われると注目されています。なかでも、労働法と税法については大きく改正されると期待と注目を集めています。